あなたは 『英語力』について質問されたらどのように答えますか?
もしその質問をした相手が英検やTOEICを知らなければ、『英検1級くらいです。』、『TOEICで800点です。』と言っても、あなたの英語力を分かってもらえませんよね。
この記事では、語学力を表すのに役に立つ世界基準『CEFR(セファール)』についてご紹介します。
この記事を書いている私は、ヨーロッパの大学院へ入学を考えている際に、このCEFRという基準のことを知りました。
CEFRは英語に限らず、あらゆる言語でのコミュニケーション能力を測ることの出来る便利な世界基準なので、海外留学を考えている方や外国語を勉強している方は必見です!
CEFRとは?
CEFR(Common European Framework of Reference)は、 語学能力を評価する国際的な基準で、日本語ではヨーロッパ言語共通参照枠とも呼ばれています。
CEFRはヨーロッパで20年以上にわたる研究のもとに開発され、2001年から公式に活用され始めました。
多言語が行き交うヨーロッパで、CEFRは「どの言語をどれくらい扱えるのか」というのを分かりやすく評価できる基準として役立っています。
現在では日本語を含む40か国語の運用能力を、CEFRの定める6つの外国語の習得レベル(A1、A2、B1、B2、C1、C2)に置き換えることができます。
それぞれ各レベルで、その言語で具体的に何ができるのかが詳しく定められており、これによって各言語の語学試験や検定を同じ尺度を使って評価することができるようになりました。
6つのレベルは、大きく『A:基礎段階』『B:自立段階』『C:熟達段階』の3つに分けられます。
CEFRはなぜ必要?
CEFRは、国境を越えて、 異なる語学検定や異なる語言でのコミュニケーション能力を相互に比較するための『ものさし』だと言えます。
例えば、自分の英語力がどれくらいかを表すのに、ヨーロッパで「英検〇級』、『TOEICのスコア〇点』と言っても、なかなか伝わりません。
日本では有名なTOEICや英検ですが、ヨーロッパ圏での認知度は低いので、相手にそのレベルが伝わりにくいのです。
そこで役に立つのが、CEFR!
『英検準一級はTOEICでいう何点相当なのか?』
『英検準一級はどれくらい英語を扱えるのか?』
というのを同じ『ものさし』で測りましょう!
というのがCEFRの概念です。
CEFRを用いることで、
- TOEIC700点 = CEFRのB1レベル
- 英検準一級 = CEFRのB2レベル
というように異なる語学検定のスコアを統一の尺度で測ることができるというワケです。
つまりCEFRはあくまでも基準であり、試験や資格ではありません。
- 異なる語学検定を相互に比較することができる
(例えば:IELTS6.0=英検準一級) - 40か国語の語学力を相互に比較することができる
(例えば:英語B2 =ドイツ語B2 = 日本語B2)
各英語検定試験とCEFRの対照表
実際に英語の資格・検定試験を参考にして、CEFRの対照表を見てみましょう。
CEFRの定義したC2のネイティブレベルともなると、ほとんどの検定試験では測ることのできないレベルとなっています。
CEFR | Cambridge English | IELTS | TOEFL iBT | 英検 | TOEIC (L&R) | TOEIC (S&W) |
---|---|---|---|---|---|---|
C2 | CPE | 8.5 ~ 9.0 | ||||
C1 | CAE | 7.0 ~ 8.0 | 95 ~ 120 | 1級 | 945 ~ 990 | 360 ~ 400 |
B2 | FCE | 5.5 ~ 6.5 | 72 ~ 94 | 準1級 | 785 ~ 944 | 310 ~ 340 |
B1 | PET | 4.0 ~ 5.0 | 42 ~ 71 | 2級 | 550 ~ 784 | 240 ~ 290 |
A2 | KET | 3.0 | 準2級 | 225 ~ 549 | 160 ~ 220 | |
A1 | 2.0 | 3級-5級 | 120 ~ 224 | 80 ~ 140 |
ヨーロッパ圏内で、どれくらいの言語力があるのかを表すときに『(CEFRの)◯◯レベル』と言えば、その言語でどのぐらいのコミュニケーション力があるのかを分かってもらえます。
あなたの持っている英語の資格や検定のスコアは、CEFRのどのレベルでしたか?
語学留学を考えている方や英語を勉強している方は、このCEFRで定められたレベルを基にして英語学習の目標を立てるのもいいかもしれません。
日本の大学入試でもCEFRが使われる?
日本ではあまり知られていなかったCEFRですが、文部科学省が2021年度の大学受験から導入すると発表していた『大学入試英語成績提供システム』により、日本でもこのCEFRへの関心が高まりました。
2021年度の導入は見送られることになったこのシステムですが、この政策にはCEFRが活用される予定でした。
文部科学省は、英語の4技能 『読む』『聞く』『話す』『書く』を総合的に評価するために、下記の民間の英語資格・検定試験を対象にすることを発表していました。
実際に、半分以上(58.9%)の大学がこのシステムを利用する予定だったようです。
例えば、東京大学は、 2021年度の一般入試では、従来の出願要件に加えて、CEFRのA2レベル以上に相当する英語力があることを証明しなければ出願は受理できないとの追加の出願要件を発表していました。
※文部省が 『大学入試英語成績提供システム』の導入を見送ったことを踏まえて、東京大学はこの出願要件の追加の取り消しを後日発表しています。
2021年度の大学入試においての導入は中止となりましたが、再導入の時期は2024年度との情報もあり、いずれ大学入試でこのシステムが導入される可能性は大きいのではないかと思われます。
公式HP: 文部科学省│大学入試英語ポータルサイト
まとめ
この記事では、 語学能力を評価する国際的な基準CEFRについてご紹介しました。
- CEFRとは?
- CEFRはなぜ必要?
- 各英語検定試験とCEFRの対照表
- 日本の大学入試でもCEFRが使われる?
※ 2020年1月現在の情報です。最新の情報につきましては公式サイトをご確認ください。