もしも今、世界中の人々がベジタリアンになったら、どんな変化が起こるのでしょうか?
この記事では、科学系YouTubeの動画『What If The World Went Vegetarian?』を参考に、もし世界中の人々がベジタリアンになったらどのようなメリット・デメリットが生じるのかをご紹介します。
健康、道徳、宗教的な理由の他に、近年増えているのが環境問題に取り組むために菜食なライフスタイルを選択する新たなベジタリアン&ヴィーガン。
今回はベジタリアンと環境問題がどのように関係しているのかに焦点をあてて見ていきます。
YouTube動画:世界中の人々がベジタリアンになったら?
もし世界中の人々がベジタリアンになったら、どんな変化が起こるのか?
ということを簡単に解説したYouTubeの動画『What If The World Went Vegetarian?』がこちら。
世界中の人々が菜食になるという選択をすることで、地球規模でどのような変化が起こるのかを4分弱で簡潔にまとめた動画です。
ちなみに、この動画を投稿しているカナダのYouTubeチャンネルAsapSCIENCEは、科学を一般向けに分かりやすく説明している動画を数多く投稿しています。
世界中の人々がベジタリアンになるメリット
世界中の人々が食べるお肉を生産するために、現在地球上には、家畜として200億羽の鶏、15億頭の牛、10億以上の羊、10億近くの豚が存在します。
もし世界中のみんなベジタリアンになったら、この家畜たちはいなくなります。
それでは、家畜がいなくなったらどのようなメリットが生じるのでしょうか?
家畜業で使っていた土地を森に変えることができる
家畜を育てるためには多くの土地が必要です。
現在、アフリカ大陸の大きさに等しい、3300万平方キロメートルという広大な土地が家畜を育てるために利用されています。
それに加えて、家畜のエサとなる穀物を育てるための土地も存在しています。
家畜を育てるために利用されていた土地は作物を育てるのに向いていません。
そのため、家畜が世界からいなくなり、放っておくと砂漠化する可能性もありますが、人間がその土地を豊かにすることで、森や草原に変えることもできます。
木は二酸化炭素を吸収するため、木が増えることで地球上の二酸化炭素が減少し、地球温暖化の進行を抑えることにつながるでしょう。
メタンガスを削減できる
家畜業は地球温暖化の大きな原因の一つです。
牛や豚などの出すげっぷやおならに含まれるメタンガスは二酸化炭素の25倍も温室効果があると言われています。
家畜がいなくなるとそのメタンガスの発生量も大幅に減少するでしょう。
森林の増加やメタンガスの減少を合わせて計算すると、家畜がいなくなれば15%も温室効果ガスを削減できるのだとか…
これは世界中から飛行機や車などをなくすよりも効果的で、科学者の中には温暖化をストップするための戦略として『お肉を食べる量を減らす』という方法を進めている人も多いようです。
水の消費を削減できる
家畜がいなくなるということは、地球温暖化問題だけでなく水不足問題の解決にもなるでしょう。
現在、世界全体における水の消費のうち70%が農業利用によるものです。
お肉を生産するために使われている水の量は、
植物になると利用される水の量はぐんと減り、
となります。
世界中の人々がベジタリアンになるデメリット
それでは逆に、世界中の人々がベジタリアンになることで生じるデメリットはなんでしょう?
家畜の副産物から製造されるモノが手に入りにくくなる
私たちの身の回りには、食べ物以外にも家畜の副産物で作られたモノが色々あります。
例えば、革製品や動物性油脂を使う洗剤や化粧品、キャンドルなどです。
世界中の人々がベジタリアンになり、家畜がいなくなってしまうと、これらの家畜の副産物から製造されているモノを現在のように簡単に手に入れることができなくなるでしょう。
作物を育てる土地が必要になる
家畜の副産物で作られたモノを植物ベースで代用することも可能ですが、代用するためには作物の生産を増加することになり、より多くの作物を栽培する土地が必要となります。
そのため、家畜がいなくなって生まれる土地は自然に戻るのではなく、多くが農耕に使われることになると考えられます。
さらに、お肉の代替となるタンパク源として、大豆などもこれまで以上に育てることになるため、地球全体を自然に戻すということは難しいでしょう。
農家の仕事に大きな影響が及ぶ
家畜によって生計を立てている農家は世界中で約10億人いると言われています。
その多くは発展途上国の農家や小規模農家です。
家畜がいなくなってしまうと、この農家の人々は農耕に転向したり、牛乳や卵の出荷に専念したりなど、変化を余儀なくされてしまうでしょう。
世界のベジタリアン事情
ベジタリアンの割合は人口全体から見るととても少なく、アメリカとカナダではほんの4~5%程です。
一方で、宗教を理由にお肉を避けることが多いインドは人口の30%がベジタリアンとなっています。
数年前から欧米先進国を中心に徐々にベジタリアンやヴィーガンが増加していますが、世界では全く逆の動きも起こっています。
例えば、人口の多い中国やインドでは、国が裕福になったことで、お肉の消費が増えています。
結果的に、一方の国でお肉の消費が減っても、世界全体で見るとお肉の消費が増加しているのが現状なのです。
まとめ
この記事は、YouTubeの動画『What If The World Went Vegetarian?』を参考に、もし世界中の人々がベジタリアンになったらどうなるのかを紹介しました。
- YouTube動画:世界中の人々がベジタリアンになったら?
- 世界中の人々がベジタリアンになるメリット
- 世界中の人々がベジタリアンになるデメリット
- 世界のベジタリアン事情
ベジタリアンやヴィーガンを実践するかどうかは、個人の生活に大きな変化をもたらす重大な決断で、それぞれ個人の選択の自由です。
ただ、私たちが食べるお肉を生産するために、地球温暖化や水資源など地球規模の大きな環境問題が生じているということを理解しておくのは大切かなと思います。
※本記事は、カナダのYouTubeチャンネルAsapSCIENCEが2016年に投稿した動画『What If The World Went Vegetarian?』を参考にしたものです。最新の統計データと異なる場合があります。