大手コーヒーチェーンのスターバックスが、韓国で使い捨てカップの利用を2025年までに廃止することを発表したのを知っていますか?
デポジット制って何?なんで使い捨てカップを廃止するの?
と疑問に思っている方へ。
この記事では、韓国のスターバックスが新しく導入するデポジット制度や、使い捨てカップと環境問題についてご紹介します。
韓国のスタバが導入する『デポジット制度』
2021年4月5日、韓国のスターバックスが2025年までに使い捨てカップを全て廃止し、カップのデポジット制を導入することを発表しました。
デポジット制度とは、ドリンク購入時に、デポジット(保証金)を支払うことで繰り返し利用可能なカップが提供され、使用後にカップを所定の場所に返却するとデポジットが戻ってくるという仕組みです。
これにより、2025年までにCO2排出量が30%削減されるのだそうです。
スターバックスは、2021年夏、韓国の一部の店舗でこのデポジット制『リユーサブル・カップ・プログラム(再利用可能なカッププログラム)』を開始し、今後2025年までに4年かけてプログラムの拡大を予定しているようです。
世界で5番目に大きなスターバックスの市場規模を持っている韓国のスターバックス。
2018年には、世界で初めてプラスチック製ストローの使用を廃止し、紙製ストローやストローなしの蓋を導入するなど、これまでにも環境問題に対する積極的な取り組みが行われてきたようです。
スターバックアジア太平洋地域のサラ・トリリング社長(Sara Trilling)は、『スターバックスコーヒー韓国は、私たちの国際的なサステナビリティのリーダー的存在』だとコメントを残しています。
スタバの使い捨てカップの環境問題
スターバックスでは、1年間におよそ70億個の使い捨てカップを使用していて、その多くは埋め立て地へ送られていると言います。
2017年だけでなんと38.5億個の使い捨てカップを使用したのだとか‥
今日の使い捨てカップは、漏れたり、壊れたり、溶けたり、ゆがんだりせず、大量生産が可能なほど安価で、完璧に近い製品と言えます。
環境にやさしいカップとは、これらの条件をすべて満たした上で、簡単に壊れるものでなければいけません。
だからこそ、環境に優しいカップを開発するのはすごく難しいのです。
スターバックスのカップは、技術的にはリサイクルすることが可能ですが、通常はリサイクルできません。
というのも、紙コップをリサイクルするには、プラスチックの裏地と紙を分離しなければならないため、多くのリサイクル業者にとって、その作業が割に合わないのだそうです。
紙コップを分別せずにリサイクルしようとすると、裏地のプラスチックが機械に詰まる可能性があるため、ほとんどのリサイクル施設では、紙コップは事実上リサイクルできません。
そのため、裏地のプラスチックが分解されてマイクロプラスチックになると、海洋生物に悪影響を与えたり、人間の食物連鎖に入り込んだりする可能性があります。
この問題は、スターバックスのみの問題ではなく、システム全体の問題だと思います。
スターバックスがリサイクル可能なカップを作っても、他のシステムが変わらなければ、堆肥化もリサイクルもできません。
スターバックスだけではシステムを変えることはできないのです。
現在のスタバの紙カップの素材
スターバックスは、より完全な解決策を見つけるために長年いろいろな研究をしてきました。
2009~2011年の間には、専門家を招いた『カップサミット(Cup Summits)』を3回開催し、完全にリサイクル可能なカップの設計を依頼しています。
ただ、どの専門家も包括的な解決策を見出すことはできなかったようです。
スターバックスの環境担当者の方は、今後もこの挑戦から逃げ出さずに立ち向かっていくと前向きな意見を主張しています。
スターバックスは、サステナビリティに関する幅広い目標の一環として、2022年までにカップ内のリサイクル素材を2倍にすることを目指しているようです。
まとめ
この記事では、韓国のスタバが新しく導入するカップのデポジット制度の仕組みや、使い捨てカップと環境問題の関係についてご紹介しました。
今回は、スターバックスに焦点を当ててみましたが、使い捨てカップの問題はスターバックスだけのものではなく、システム全体の問題化と思います。
使い捨てカップの量を減らすために、自分で持ち込んだタンブラーやボトルに注文したドリンクを入れてもらうなどして、消費者一人ひとりができることを始めていけるといいのかなと思います。